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大型クレーンなしでも建設可能、耐風性を強化し国内市場を開拓
2008/11/05(Wed)
 橋梁・鉄骨メーカーの駒井鉄工が、風力発電設備に新規参入した。昨年9月、千葉県にある同社の富津工場内に実証機を設置、今年3月にはメキシコから商用1号機を受注した。

 出力100kW以上の中大型風車メーカーとしては、国内で4社目。ただ、駒井鉄工の戦略が、先行3社(三菱重工業、富士重工業、日本製鋼所)と異なるのは、出力規模が小さいことだ。1000kW以上が主力の3社に対し、商品化した風車は300kWである。

 風力発電は大型化によって1kW当たりの建設コストを下げ、経済性を高めてきた。いまや主流は2000kW前後まで大型化が進んでいる。

 そんななか、なぜ300kWなのか。「大型クレーンを使わずに建設できることを最優先に設計した結果、この出力が限度との結論になった」。環境事業部の庄司悟部長は、300kWの理由をこう説明する。


タワー頭部に独自開発した架設装置(誘導用治具)を設置し、そこにワイヤーをわたしてナセルを引き上げる。大型クレーンは必要ない 実際、富津工場では大型クレーンなしで設置した。通常、タワー(支柱)の上にナセルを設置する際、大型クレーンでつり上げる。しかし、同社はまず中型クレーンで独自開発した架設装置(誘導用治具)を取り付け、ワイヤーでナセルを引き上げる手法を考案した(右写真)。この工法は特許出願済みだ。

 「国内で今後さらに風力発電を増やすには、どうしても風況のよい山間部になる。中型クレーンで建設できれば、道を広げるなどの土木工事が必要なくなり、設置費用が大幅に下がる」と、庄司部長は言う。


これまでにない高性能中型機、最先端の風力発電技術を投入

 風車本体についても、最新の風力発電の技術を投入し、日本の気候に合わせて設計した。風力発電の技術はここ10年で急速に進歩し、効率性と耐久性が上がってきた。例えば、風速に合わせてブレード(羽根)の向きを変えるピッチ制御、風車の特性に合わせた強度を持つ増速機などだ。ただ、こうした最新技術は 1000kW以上の大型機にしか採用されていない。というのは、既存の大型風車メーカーにとって、300kW前後の中型機は、「過去のモデル」でしかなく、新規に設計していないからだ。

 駒井鉄工は、300kW機に初めてピッチ制御を導入するとともに、増速機の設計・製造では、中型風車に使っていた従来の部品ではなく、耐久性に優れた歯車などを部品メーカーに新たに発注し、信頼性を高めた。

 国内に設置されている欧州メーカー製風車のほとんどは、耐風性の基準風速を秒速42.5mに設定しているが、駒井鉄工は同50mを想定して設計。風の乱れに対する強度も、国内にある欧州製に比べ、10〜20%向上させた。また、雷対策についても、ブレードの先端をレセプター(受雷部)で覆い、広い範囲で雷を受け止めて銅線で地上に電流を逃がす、最高レベルの耐雷性を実現した。

 ただ、風車本体の価格は1kW当たり約35万円(工事費別)と、1000kWクラスの大型機に比べ10万円以上高くなる。大型化が進む風力発電市場で、新型の中型風車がどの程度受け入れられるか注目される。

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